伝統技術『立曳き工法による樹木移植』Tatebiki
伝統技術『立曳き工法による樹木移植』
価値ある樹木を安全に移植し、未来へ託す伝統の技術
立曳き工法による樹木移植により巨樹・巨木・貴重木の移植に対し
樹木への負担を最小限に抑え、安全に移植することができます。
伝統技術の継承こそ、未来への架け橋と考えます。
- 「みどりの区間」竣工
- 一級河川「白川」が貫流する熊本市中心部は、河岸にクスノキ、ケヤキなどの豊かな緑が連続し「森の都くまもと」を象徴するにふさわしい景観を形成しています。反面、この区間は流下能力上のネックになっており、これまで度重なる洪水被害に見舞われてきました。
国土交通省では直ちに白川水系河川整備計画を策定し、洪水対策のための整備が進められてきました。
本工事においては、特に市民に親しまれている明午橋から大甲橋の800mを「みどりの区間」と位置づけ、樹木移植等の環境整備が行われており、そのなかで現代工法では移植困難な、重さ70tと100tのクスノキ2本を枝・幹を切らず、傷めず移植する方法として、「神楽桟(カグラサン)」を用いた伝統工法の「立曳き」で移動しました。
樹木移植の技術は代々庭師としての造園業に受け継がれてきましたが、今回の「立曳き工法」は、近代技術(大型クレーン等)ではできないことを埋もれつつある「江戸の技」である伝統技術を用いて、なおかつ市民のみなさんに公開するという形で行えたことに大きな意味があります。
「立曳き工法」
みどりの区間 大クスノキ移植のながれ
- 【移植前の状態】
移植対象木:クスノキ
樹高:15.0m
幹周:3.8m
葉張り:12.0m重量:約70トン
樹齢:推定100年
根回し:5年前
- 【ケヤキ150年生架台準備】
- 【コロ作成(かしのき)】
- 【幹巻き作業】
- 幹焼け、霜焼け、乾燥防止対策として幹に麻繊維をまきつけ、樹木養生に努めます。
- 【立曳き道具取付】
- 根巻きが完了すると、立曳き用道具(荷台)を取付けるため更に根底を、掘削し、道具を取付けていきます。
- 【カグラサン設置】
- ワイヤーの巻取り機「カグラサン」を設置。
棒の1本に2人、合計8人で棒を押し、ワイヤーを巻き取ります。
- 【地元小学生によるカグラサン廻し】
- 【立曳き状況】
- 【着地完了】
- 【クスノキ現在の状況】
- 【白川夜市】
- 毎月第4土曜日、クスノキの下で開催。
毎回多くのお客さんでにぎわっています。